和製ジャズ温故知新.16/銀巴里セッション
|Posted:2012/01/29 10:13|Category : 和製ジャズ温故知新|
終戦の色が少しずつ薄くなる1963年、「銀巴里セッション」が開かれる。
主催は「新世紀音楽研究所」。
何とも固い名前である。
1954年日本のジャズのスタートをきったのが「モカンボセッション」
とすれば、この「銀巴里セッション」は日本のジャズそのもの
を創作し始めた記念碑的セッションと言える。
富樫雅彦、稲葉国光、山下洋輔、中牟礼貞則ら日本の将来をになう若手が
集結、セッションをする。
このセッションは「銀巴里セッション1963」として録音に残る。
それぞれのメンバーが個性を発揮し、自己のグループを
後年結成することになるが、この時最も存在を示したのが、高柳昌行
である。そんな彼も1991年58歳で病死する。
この時期、現代音楽の場も草月アートセンターを中心に武満徹、
八木正生、三保敬太郎、黛敏郎を中心にクラシックの新しい動きを
模索するためジャズとの接点を探るべく「草月ミュージックイン」
として活動をおこなう。
特に作曲家として世界に名高い武満徹は、セロニアス・モンクの
サウンドを研究し、後の自分のサウンド「タケミツトーン」を
作り上げる。
こうしてジャズ、現代音楽、美術、評論のジャンルを巻き込みながら
日本独自の音楽を作り上げようとする流れが生まれるのである。